若きおっさん顔の日記

ボヤいたり、長い独り言を。

【映画】「無防備都市」 ロベルト・ロッセリーニ 監督

映画「無防備都市」を見終わる。

映画の舞台は、第二次世界大戦末期、ナチス・ドイツに占領されたイタリア。その舞台で描かれるのは、ナチス・ドイツとの地元レジスタンスと「争い」。

ただ、そこで描かれるのはスターウォーズのような華々しい戦闘劇ではなく、レジスタンス達の日常であり、人間模様。

個人的に興味深く感じたのゲシュタポと神父。映画で描かれるゲシュタポは、悪趣味な人間そのもの。彼らは自らが誰よりもどの人種よりも優れている事を疑わない。しかし、それは上っ面だけなのかもしれない。書記官が自分達は人殺しを続けた結果、増悪の的になり、希望がない言えば、少佐は声を荒げ、苛立ちながら煙草を吸っているからだ。まるで、国・国家に囚われて逃げ場がないように見える。

 

神父は、本来は相いれない共産党(レジスタンス)とも手を組む。彼は、「正義と自由のため戦う人を信じる。それが神の道だからだ。」と言う。最後、仲間のレジスタンスが拷問の末死んだ際には、「体が殺せても霊魂は殺せないぞ!」とゲシュタポに叫び、今まで冷酷・傲慢な人間そのものだったゲシュタポを後退りさせる。宗教という枠組みの中で、心が自由な人間を描いているように感じた。また、だからこそ、カトリック教徒は世界中様々な場所で圧制者に抗したのかもしれない。この聖職者の圧制者に対する殉教性の様なものは一度別で考察してみたい。

そのほか、戦時中のイタリアの様子も伺え非常に面白い作品でした。

 

無防備都市 Blu-ray

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